お通夜やお葬式では、ご遺族やご友人関係、職場関係、お付き合いのある近隣の方々により、それぞれ役割を決め、弔問客の対応をするのが一般的です。中でも特に急に頼まれることが多い葬儀の受付。漠然とはわかるものの「一体どうしたらいいのか?」という人も多いはず。今回はそんなお通夜やお葬式の受付係について、その役割や、マナーについてご紹介します。
誰に受付を依頼すべきか?
受付の仕事で心がけるべきこと
受付係の仕事は弔問客を迎える役割を広く担っています。
お葬式の担当者やご遺族、喪主の方から指示が出るとは言え、お葬式会場は人の出入りも多く、バタバタとしており、現金の取り扱いもあります。
不測の事態を避けるためにも不確かなことをそのままにせず、必ず担当者やご遺族に確認してから行動しましょう。
受付の大まかな流れをつかんでおけば未経験の人でもそれほど難しいものではありません。
※最初から完璧な受付ができる人はいません。行いながら徐々に仕事に慣れていくものです。
受付の心構えとしてもうひとつ大切なことがあります。
それは、ご遺族側の立場で弔問客をお迎えする気持ちを忘れないことです。
弔問客の中には初めての場に緊張されている方もおります。
また、弔問客の中にはご年配の方や、お体が不自由な方、小さいお子様をお連れの方など様々な方がいらっしゃいます。
また、天候によっては雨の日や冬場など、傘や防寒具をお召しの方も多くいらっしゃいます。
確かに受付の仕事の流れやマニュアルは存在しますが、心構えとして「その弔問客、その場、その状況でどのような対応が最適か?」それを常に考える姿勢を持って望みましょう。
一般的な受付の流れと注意点
ここでは、一般的な受付の流れや、受付の仕事内容、知っておくべき挨拶の言葉などを紹介します。受付の仕事は一般的に①〜⑧の手順で行われます。
①準備
受付を行う30分前までに下記項目を確認しておきましょう。
- 会場のレイアウトと、式の進行プログラムの確認
- 芳名帳やボールペンや筆ペン、お渡しする会葬礼品、香典受け、名刺受け等などの準備は整っているか確認
※意外と盲点となるのがボールペンや筆ペンのインク切れです。受付は混雑しますので、換えのボールペンを探していると弔問客をお待たせしてしまいます。そのため事前にボールペンや筆ペンのインクが切れていないかどうか? またインクがきちんと入っているか? 事前に確認しておきましょう。替えのボールペンを用意しておくのもよいでしょう。 - 返礼品がある場合には、どういった場合に何個お渡しするのかをお通夜・お葬式担当者に確認
- トイレの場所、駐車場、遺族の控室、式の開始時刻など、聞かれたら答えられるように確認
②受付の挨拶
ご遺族に代わり、弔問客の対応をします。(言葉遣いや立ち振る舞いも、ご遺族の立場に立って行うように心がけましょう)
弔問客が「このたびは御愁傷様でございます」とお悔やみを述べたら、ご遺族の代わりに、弔問に来ていただいたことに対して「本日は、お忙しい中をお越しいただきまして、誠にありがとうございます」とお礼を述べます。
※受付は一般客と会社関係者と区分けする場合があります。
③香典を受け取る
弔問客が香典を出されたら「お預かりいたします」と述べ、香典を両手で受け取って一礼します。このとき香典は必ず両手で受け取るのがマナーです。
④芳名帳に記帳してもらう
弔問客に「恐れ入りますが、こちらにご住所とお名前をご記入ください」と芳名帳のご案内をして、ご記帳していただきます。
芳名帳には、各行に番号をふっておき、記帳していただいた後、その行と同じ番号を香典袋に記入します。
弔問客は、慣れない場面に緊張している場合が多いので、ペンなど取りやすいように向きをそろえるなど、細やかな配慮を心がけましょう。
⑤返礼品を渡す
弔問客の記帳が終わったら、お礼を述べながら返礼品(会葬礼状・香典返し等)を渡します。このとき「香典が連名の場合には人数分の返礼品をお渡しする」「香典が団体名の場合には1つ返礼品をお渡しする」など香典の表書きによって返礼品の数が変わります。そのため①の準備段階でしっかり、どういった場合に何個返礼品を返すのか? をお通夜・お葬式担当者に確認しておきましょう。
※記帳にはどうしても時間がかかってしまうため、弔問客をお待たせするケースが多くなります。
弔問客の負担や混乱を避けるためにも、記帳をお願いする係と返礼品をお渡しする係を分けたり、芳名帳、筆記具を2~3組用意しておくとよいでしょう。
⑥会場に案内する
「会場はあちらです」などお声をかけて手で指し示すなど、わかりやすくお通夜・お葬式会場に弔問客をご案内します。
弔問客は、年配の方、お体の不自由な方、小さいお子さんをお連れの方等様々です。手を引いてあげたり、ドアをおさえてあげたり、その場に沿ったフォローができるように心がけましょう。
※式の開始時間より早めに来られた弔問客には、待合所または、それに相当する場所をご案内するのが一般的です。
⑦香典を会計係に渡す
弔問客が、目の前を立ち去ってから会計係に香典を渡します。大抵の場合、会計係は、受付のすぐ後ろなどにいます。
※香典袋には現金が入っているので、盗難、紛失など不測の事態にならないよう取り扱いには充分に注意しましょう。
⑧最後の片付け
もう弔問客が来られないだろうと予測できる時間帯になったら、受付担当として1人を残し会場の後片付けや、香典の整理を手伝いましょう。
会計係の指示に従って,芳名帳と香典袋の名前を照合し記入漏れがないか確認していきます。確認が済んだら、まとめて世話役の方にお渡ししましょう。
最後に残った会葬礼品をまとめて受付の仕事は完了となります。
また、受付係の仕事は①〜⑧だけとは限りません。次のような雑務も受付係の仕事ですので、しっかり対応できるようにしておきましょう。またどう対応すればいいか分からない場合には、自分で判断せず、お葬式の担当者に聞きましょう。
弔電・供物・供花、手荷物預かりなどの対応
弔電・供物・供花などが届いたら、記帳したのちに進行係に渡し、祭壇に供えていただきます。また、必要に応じて、コートや手荷物などを受け取ることもあります。この場合、お返しの際、渡し間違いのないように、お名前を必ず伺うようにしましょう。
ご遺族への面会希望の対応
弔問客の中には、ご遺族に面会を希望する方もいらっしゃいます。来られたら、丁寧にご遺族の元へご案内しましょう
受付の方に対するお礼
通常、初七日までに、受付係や会計係などを務めてくれた方々、またはその取りまとめ役をして頂いた世話役の方などに、喪主(またはご遺族)がお礼のご挨拶に伺います。
※社葬の場合には、一般的にご遺族が会社にお礼に伺います。
伺う際に持参する品物は「菓子折り」または「タオル」や「石鹸」など食品や日用品で、金額は3,000円~20,000円位までのものが良いでしょう。
近年、お礼の品のサンプルカタログなどを用意しているお寺や、葬儀屋などが増えています。
「どんな品物が適切なのか?」分からない場合にはお寺や葬儀屋などに相談するのも、ひとつの選択肢と言えるでしょう。
※お礼の品にのしをつける場合、一般的には不祝儀の結び切りの熨斗で、表書きには「御礼」を、下の段には喪主の姓を書きます。
「寸志」という表書きも用いる場合もございますが、その表記は目下の人宛にしか使えませんので、ご注意ください。
お葬式をやることが決まった場合、受付は一般的に近隣の方々や、会社関係の方にお願いします。
また、ご遺族の中に10代、20代の若い方がいらっしゃる場合はその方にお願いすることもあります。
弔問客にとっては、遺族の代表とも言える役割ですので、きちんとした挨拶や、配慮ある対応が出来る人にお願いした方がよいでしょう。